目安は高1の春です。ただし物理は、いきなり運動方程式からは入りません。物理を本格的に進めるには、数学の微分・積分とベクトルが要るからです。
難関大の理系では、理科は数学と同じ重さ
東京大学の理科一類・二類・三類の二次試験は、国語80点、数学120点、理科120点、外国語120点です。理科は数学と同じ配点で、しかも物理・化学など2科目を解きます。
京都大学や東京科学大学の理系、国公立大学の医学部でも、二次試験で理科2科目を課すところが多くあります。理系で難関大を目指すなら、理科は「数学の次に考えればよい科目」ではなく、数学と並ぶ柱です。
物理は、微分・積分とベクトルの上に立っている
高校の物理、とくに力学は、数学を道具として使います。速度は位置を時間で微分したもの、加速度は速度を時間で微分したもの。移動距離は、速度を時間で積分したものです。力は向きと大きさをもつ量なので、ベクトルとして足し合わせたり、向きごとに分けたりします。
この道具がないまま物理を始めると、公式を覚えて数字を当てはめる勉強になります。条件が少し変わっただけで解けなくなり、覚えることばかりが増えていきます。微分・積分とベクトルを学ぶ前に物理を本格的に始めるのは、基本的に厳しいと当塾は考えています。
当塾の順番:数学のカリキュラムとつなげる
そこで当塾では、物理の進め方を数学のカリキュラムとつなげて組んでいます。物理の最初の時期に、数学で微分・積分とベクトルを学び、道具がそろってから運動方程式に入ります。
① 最初は、力の書き込みと v-t グラフをやり込む
物理の最初の時期は、運動方程式にはまだ入りません。扱うのは、物体にはたらく力を矢印で書き出すことと、v-t グラフを読むことの2つです。この2つを徹底的に練習します。
力の書き込みでは、物体に触れているものと重力だけを手がかりに、力を1本ずつ書き出します。重力を斜面の向きに分けるのは、数学で学ぶベクトルの分解の実例です。
v-t グラフでは、傾きが加速度、面積が移動距離になることを、グラフの上で確かめます。これは、数学で学ぶ微分(傾き)と積分(面積)を、物理の側から先に見ておくことでもあります。
この間に、数学の授業で微分・積分とベクトルを学びます。物理で先に「絵」として見たものが、数学で「式」になって戻ってきます。
② 道具がそろったら、運動方程式から入る
数学の道具がそろったところで、運動方程式 ma = F に入ります。右辺の F は、①で書き出した力をベクトルとして足し合わせたもの。左辺の加速度 a は、v-t グラフの傾き、つまり速度の微分です。
運動方程式は、①でやり込んだ2つを1本の式でつなぐだけです。新しいことを覚えるのではなく、知っていることがつながるので、無理なく入ってきます。
③ その先へ
運動方程式を位置で積分すると仕事とエネルギーの関係が、時間で積分すると力積と運動量の関係が出てきます。力学のあとの波動・電磁気でも、微分・積分とベクトルはそのまま使います。最初に道具をそろえておくことが、物理全体の近道になります。
化学は、物質量(モル)から並行して
化学は、物理ほど微分・積分に頼りません。高1から、物質量(モル)と化学反応式の計算を入り口にして、物理と並行して進めます。pH の計算で使う対数は、数学で指数・対数を学んだあとに扱います。
遅く始めると、高3の演習時間がなくなる
入試の理科は、全範囲を一度学んだだけでは点になりません。過去問を、時間内に解き切る練習が要ります。高3の夏以降をその練習にあてるには、物理・化学とも高2の終わりまでに全範囲を一周しておく必要があります。
2科目の全範囲を、2年で一周する。逆算すると、始めるのは高1になります。学校の授業を待っていると、学校によっては全範囲が終わるのが高3に入ってから、ということもあります。
高2から始める場合
高2からでも、間に合わないわけではありません。物理は、まず微分・積分とベクトルが済んでいるかを確かめてください。済んでいれば、①を短く切り上げて運動方程式から入れます。済んでいなければ、数学のほうを先に固めるのが結局は近道です。2科目の全範囲を1年半ほどで回すことになるので、何を先に固め、何を後に回すかの順番がいっそう大事になります。
東京校では
東京校の教室の講座でも、この順番で物理を進める予定です(志望大学ごとの流れは大学別カリキュラム)。いまはオンライン個別指導で、学年を問わず物理・化学を1対1で受け付けています。オンラインでも、数学の進み具合を確かめたうえで、物理をどこから始めるかを決めます。
東京大学の配点は、同大学が公表している一般選抜の第2次学力試験の配点(2026年9月時点)。最新の情報は各大学の募集要項でご確認ください。